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もっとスープカレーを食べたかった
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DEATH STRANDING
さてDeathStranding、金を使い過ぎてコナミを追い出された事で有名な小島監督の脱メタルギア第一作目である
(ネットの噂に流された意見)

小島秀夫といえば皆さんもご存知の通りZONE OF THE ENDERSのプロデューサーですね、奴が頭となって新作を出すとなれば我々も避けては通れない道だ


▽初めに
アクションゲームとしてこれを買おうとする場合は話にならないので止めておいた方が良い
これはWalking Cargo Simulator2020として買うのが大前提であり、それとは別に世界観を自分で歩いて感じられるADVという認識が近いだろう


▽概要
発売前まで異常なレベルでゲームとしての情報が秘匿されて雰囲気デモムービーとスタッフのモノクロ決めポーズ写真ばっかり出ていた本作であるが、その為ネタバレのボーダーも異常に低くなっている、話にならないのでこの記事ではチュートリアル気分で進行する序盤についての話と設定については触れていく
大雑把に概要を並べると以下のようになる

・ビーチと呼ばれる『あの世』と繋がった事で崩壊した世界である
・世界にはあの世から流れてくる死者、つまりビーチから座礁してくるBT、BeachThingが徘徊している、BTと生者が接触するとデスストランディング、町を一つ吹き飛ばす程度の大破壊が起こる
・主人公、配達人のサムはアメリカ再建を目指すブリッジズの依頼により、一人でアメリカを横断し、『繋ぎ直す』事となる
・サムはアメリカ再建の為に各拠点へ荷物を運ばねばならない、それにはBT、気が狂った元配達人、アメリカ再建を阻む原理主義者、崩壊して原初帰りした大自然が牙を向くだろう、それに対抗するにはブリッジズが研究しているビーチの力を使ったカイラル技術による最新装備が必要となる


▽キャラクター
・サム
主演のノーマンリーダス、元ブリッジズでビーチが出現した頃と同時に生まれ始めた異能力者DOOMSの一人、能力はBTに食われても死なない事と二段ジャンプ(マジで何で二段ジャンプできるのか説明がない)

サムは接触恐怖症であり、それゆえに町から町を転々とする伝説のポーターとして生きていた、ブリッジズ本拠への依頼を受けた事でアメリカ再建などという面倒事へと巻き込まれる事になる

なお、ゲーム開始時に伝説のポーターとしてのスタッツはリセットされている、シナリオ的には伝説だがゲームUI的には新人ポーターだ

・BB
サムが持っている不気味な赤ん坊が入ったポッド、BBはカイラル技術によって作り出された、あの世と繋がったままの半死人の赤ん坊で、サムはBBとリンクする事でBTの存在を感知しやすくなる

・アメリ
デモムービーによく出てくる赤いドレスを着て砂浜に立ってる見た目の第一印象から完全にクソ女のサムの姉となる、彼女を助ける事がサムの目標の一つである

・フラジャイル
女の黒スーツを着ている方、何らかの目的をもってサムに近づいてくるが、ヒステリックに自分の要望をサムに押し付けるだけのブリッジズのクソ女どもと違い非常に大人な女である、本作のヒロイン2号

・ブリッジズの面々
各拠点の配送担当者と、ブリッジズの幹部が登場する
ブリッジズの幹部は全てDOOMSであり、それぞれ能力を持っている、
死なないダイハードマンとか医者のデッドマンとか色々いるが、基本的にはBTをいくらか感知できるのがDOOMSとしての最低条件の模様

全員揃ってサムに全ての面倒を押し付けようとするので序盤の印象が最悪
(とはいえ、サムが旅立った当初の状況はかなり末期的な状態である)


▽ゲームシステム
まず大前提として、これはサムを操作して荷物を運ぶゲームである
強制、または任意の依頼を受けて、目的地へのルートを検討し、予想される障害に対応する装備を用意し、荷物を傷つけないように慎重に、時には急いで運ぶ事となる

道中ではプレイヤーはサムとなり、常識はずれの量の荷物を担ぎ、転ばず、敵に奪われず、雨に晒しすぎず、ピザを傾けず、BTに捕まらぬよう注意しなければならない

依頼の報酬は各施設の好感度となる、好感度が上がると素材や新装備をくれたりする、これは強制依頼だろうが基本的に報酬はそれしかなく、一発ゲームオーバーを除けばミッションの巧拙によるゲーム的な変化は好感度が早く上がるかどうかだけだ、緩めのオートセーブの中で失敗しても何とかなるようなカジュアルなバランスとなっている

一度新しい目的地へ着くと、エリア内でのカイラル技術を使うタイプの建築が解禁され、同時に他プレイヤーの建築物の同期が始まる、これは適当な重みづけにて評判のいい建築物が出やすくなってるのでそこそこ使いやすい物が出てくる
これにより、一度踏破したエリアについては2回目からいくらか楽になる仕組みとなっている


▽良い所
・世界観的にはかなり独自な設定を詰め込まれている、ビーチ、BT、デスストランディング、BB、DOOMSといった異常事態を踏み台とした中で『常識外れ』な各自の問題が語られる為、世界の常識を知ってからも無茶苦茶な話となり、中盤からは話的には退屈する暇はない
一方、世界の常識を知るまでのハードルが高いというのはある

・若干やりすぎなくらい他人の痕跡が溢れている為、一旦クリアしたエリアの利便性を振れ幅を入れて確保しつつ丁寧なチュートリアルとしても機能しているのは良く出来た構造

・国道建設
中盤アメリカ大陸の中心部に到着すると国道建設装置が出てきて、大量の物資と引き換えに安全で快適な国道様を作成できるようになる、これを他のプレイヤーと緩く協力して作るようになるというか、多分まだ作り終えてない奴ら集めて計算されて誰が最初に残りの半分くらいの素材を入れるかのチキンレースとなる、足りない素材というのはみんな同じだ

過酷な大地を国道で繋ぐ一大事業である、自らが苦労して歩いた危険なフィールドを安全な国道、なぜ安全かというとそもそも国道がカイラル技術で浮いてるからなんだが、それを作成して依頼を最高効率でこなす、そして皆が国道を使ってくれているという事がゲーム中逐次伝わってくるというのは中々の体験だ、これはUCA Truck Simulator2020でもある

一方国道様はゲーム中盤だけにしか存在せず、途中から国道様は途切れる事となる、そこからはまあ別の手段を構築する事になるだろう、俺のテンションはそこで終わった

・操作性
そもそもの操作性はかなり良好、荷物詰み過ぎるとペナルティ操作が発生するのも含め、サムを動かす楽しみというのは作りこまれている、ファストトラベルに軽い制限がかかっている本作においてこれはかなり重要な点だ

・(・∀・)イイネ!!
ゲームプレイがポジティブ
経験値みたいに『いいね(Like)』が溜まっていくのだが、NPCは好感度と同時に上がっていくし自分が残した痕跡に他人が触れるとマルチ同期で飛んでくるし赤ん坊のBBはダッシュしてるだけで喜ぶし自分も勝手に他人にガンガン飛ばすし任意でさらに飛ばす事もできるしで、喜びを表現したり受け取るシーンが多い、普段白人の皮肉を聞きまくっている現代ゲーマーに対しては珍しい体験だろう

特に配送依頼の目的地のNPCがホログラムで出迎えてくれるんだが、それにサムで喋りかけると会話が成立したりするシーンはZOE2のL3R3ボタンを思い出した、そうなんだよねゲームしながらグッジョブとか軽口叩きたいよね

・雪山
ホワイトアウトのバランスが最高、足を取られる地面少しでもマシな斜面視界がゼロアイコンは見えてるけど間の絶壁が見えない切れるバッテリー

▽良くない所
・雪山
時雪のバランスが最悪、世界観的に雨と雪は全ての時間を消費しつくす時雨(タイムフォール)なのだが、時雪は止む事がほぼ無い上に一度エリアに入ったら荷物が全損に近い状態になるの間違いなしのバランスになっている
雪山はルート算定の難易度も上がっているので荷物の保護の準備をこのくらいしておけばいいかな、という計算の単位が滅茶苦茶大きく、面倒になってクリアランク最低でとりあえず行った方が良いみたいな状況になりがち

あと雪山に入った瞬間一気にストレスが上がる外部要因も集中して発生し、最初のホワイトアウト体験以来全く雪山を楽しめなかった、依頼ランク落ちる状況じゃなければまあ良いんだけど

・スタッフロールの仕様が最悪
最悪だった

スカスカのオープンワールド!
予算の問題かと思うんだがオープンワールドにわりと遊びが少ない。
広い丘がある割に全面走り回っても何もなかったりするし、そもそもオープンワールドで何かを探すというゲーム的なご褒美はほぼ無い、メモリーチップというコレクタブル1種類くらいだ
たまに狙って作ったんだろうなという絶景ポイントはある

拠点間のルートも迂回が不可能で実質固定になっている事が多かったり、絶対に敵が高速で湧きなおすポイントは通ってくださいね!というシーンが多く、特にチュートリアル気分で作られている序盤エリアはそうなってる、消化がかなりしんどい

というかBTが沸くエリアのボス倒して雨を祓った後エリアから一歩でも出たら雨が復活するのおかしくない?あと天気予報を実装しました!とか言いつつ降水確率100%のエリアが多すぎでオンライン看板のここからBTが出るよ!というのがジャストでBTが出てきたりする、ストレスが開発の想定100%で常に提供される

・戦闘面
最高難易度でやってもかなり大味、近接戦闘はCQC、殺人はあまりやってはいけない世界になっているので遠距離はロープガンやBTを倒す為の血液ゴム弾とかをアサルトライフルで撃ったりするが、そもそもカーゴシミュレーターなので武器を持ち運ぶ余裕がなかったりする、そして戦闘は持ち込む武器によって方針が決まるし、武器を持ち運んでいるとすぐに劣化して使いたい時には破損していたりする

その辺の武器の管理の煩雑さと、そもそも戦闘によるメリットというのが基本的に存在しない事を合わせ、完全に戦闘が罰ゲームになっている、その割ボス戦はガチガチTPSだし勘弁しろ

・ボス戦
最初のボス戦が高い所に上って無限にどこからか湧いてくるグレネード投げ続けてねという内容で本気でこれが楽しいと思って作ったのかとかなり思った

その後のボス戦はいきなりメタルギアみたいなステルスTPSになってチェックポイント長かったりで完全に別のゲームになってる、アドベンチャー気分でここまでやってたのにいきなり結構まともなTPSやらせるのは戸惑う人はいそうだが、難易度下げるとグレネード2発で大型BT死んだりするらしいのでここもそうなるのかもしれない

ちょくちょくいる大型ボスについては足場が常に悪い事、武器はオンライン共有による救済で無限に手に入る事、死んでもその場でリポップする事などの事情で基本的に高い所に上って持ってる武器を適当に撃ちまくってビーム来たら避けるだけで終わる、終盤は足場の環境がさらに悪化するので高い所に上る以外の選択肢は死んでる、そして敵は固くなっていく

・ムービーゲームについて
奴の悪い癖が全開となっている、サムが椅子に座るだけで5秒のムービー流しかねない勢いであり、ルーチンワークが全部カットシーン扱いでさらにカットシーンが細かく分割されており、分割単位でそれぞれ確認が発生するスキップをしないといけないケースが多い

大量の任意依頼を受注してルーチンワークをこなす段階になってくるとこのムービーは全てスキップしたくなってくる、これは細かい積み上げがあるゲームとはかなり相性が悪い

あと終盤に入るとシナリオ系のムービーの長さが5倍になった、スタッフロール流れてから2時間ムービー見せられ続けるとは思わないじゃん
そして同じシーンを忘れてるでしょ?もう一回流すね?みたいな感じで別の角度で流したり別の奴が語ったりでこれ整理できたよね?ってなる、誰かあの眼鏡止めろ

・ファミ通について
ファミ通の昔の偉い人だかが出てきて10回くらい君は殿堂入りだよって言われた、殿堂入りを忖度したかどうかは別としてこのセンスは言い訳できないだろ


▽感想(全体テーマについて)
シナリオのテーマが浅いとか滅茶苦茶言われてるが、そもそもあの監督は映画雑誌に寄稿している文を見ると滅茶苦茶面倒くさい奴なので、自分が設計した世界を馬鹿どもに伝えるにはこれくらいやらないとダメだとか思っている気がする

主役の一人のアメリとかいうクソ女が目障りなのを除けば今回の話は非常にシンプルで、複雑で過酷な世界観の設定をしっかりと作り、その中でも接触恐怖症でコミュ障のサムを取り巻く人間の話を分かりやすくやりたい、という構造になっている

森を焼かれたエルフが敵に復讐する憎しみの連鎖カタルシスみたいな文句のつけようがない暴力的な話ではなく、ヒューマンドラマ系サスペンス映画をシミュレーターゲームにローカライズしたような感じだ、まあ好みは出るだろう


▽感想(結局)
シミュレーターゲームとしては最高だったのでこれが時雪なくてアメリカ再建の話がないのであればマルチ同期配送網構築シミュレーターオープンワールドゲームとして一定の評価を得たであろうという感じ

終盤の話についてはスタッフロールの仕様以外は許せる範囲だ、とてもまあなんというか綺麗な話なんだがムービーに疲れてしまった人はあれを許せないケースも出てくるだろう、そうだよなアメリはクソだよな分かるよ

つまり小島監督は今回『ゲーム』の根幹については仕上げてきた、シナリオ面の悪い癖は全開だった、大作ゲームクリエイター面には見合う内容だろう
今後もスタッフの決めポーズモノクロ写真を上げても納得だ


▽感想(人気投票について)
いややっぱヒッグスじゃない?あいつが一番剥き出しの人間だったよ、戦闘中いきなり八つ当たりしてくるのは好き
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