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もっとスープカレーを食べたかった
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LOOP8

- あの女刺しおった!

ニッチゲームクリエイター兼作家の芝村裕吏氏とマーベラスが組んだのがLOOP8

氏に関しては昔はガンパレ、今は刀剣が看板なイメージではあるが、個人的なイメージとしては完全に作家
マージナル、カナン、マージナルからちょっとズレた猟犬とかハヤカワで出してたセルフクラフトなどのシリーズと単発はどれも安定して読めるタイプだった

難点としては頭の中の世界観を小出しにして全部つなげるタイプの人なのでどうせまた後で使うでしょって締める気が全く無くていきなり大鉈を振るう所、さてやっていきましょう!


▽シナリオとキャラクター
公式でお出しされるイメージは10代の少年少女がケガイと呼ばれる怪異と戦う選択の連続のRPGである
それに加えてループ現象を印象付けており、さらにゲームのNPCは生きている、というのが主なウリとなる

登場人物はラノベかゲームかみたいな面々なので多彩、宇宙から降ってきた主人公、なぜか滅茶苦茶周りからの当たりが何もかも厳しい正統派同居系美少女、刀持った黒髪美人、ケモミミ、赤眼鏡、ロボ、バカ担当の友人、気の良いオタク、何か重い長身眼鏡、クソ女先生、研究所爆発させてそうな先生、田舎でホームレスしていい顔ではないフリーター女、あたりとなる、あとムササビ

それに対して芝村氏の得意な飽きさせないキャラ付けと設定の山で殴ってくる感じとなる、ベースは主人公が矛持って空に注連縄浮かんでるのでもちろん日本神話


▽カレルシステムについて
NPCが生きてるっていうのは公式にもあるカレルシステム、ガンパレードマーチとか後の絢爛舞踏とかエヴァにも使ってた奴の新しいバージョンとの事

概要としてはNPCにやるべき事とやりたい事と外圧(スケジュールとその場の雰囲気)を与えて動かせばそこそこ人間っぽくなるでしょという奴

今回プレイヤーに提示される条件はその人の現在の行動、機嫌、仮面の3つと場の雰囲気、行動と機嫌を確認しとけばそんなに仲良くない人でも1回くらいは話しかけて行けるかという判断ができる

今回のウリは仮面の部分、例えば滅茶苦茶他の面々からの当たりが強い正統派同居系美少女のコノハさんの家での言動と学校での言動は当然違うでしょ、という事が自然に表現できるようになった。うおー!オブジェクト指向!
(とはいえコノハさんは浮気の疑いをかけられると学校でもクビ締めてくるが)

- コノハさんハッピーセット



▽システム
大雑把には戦闘がRPGになったガンパレ

リアルタイムに進む1日を徒歩で歩き回ってキャラクター達と仲良くしたり訓練したり授業を受けたりしてパラメータを稼ぎ、期間内にケガイを倒しに異世界へ踏み込んで戦ってボスを倒し、世界を延命するのがゲームの流れとなる

日常パートは簡略化されたガンパレで良い、常時ダッシュ(遅い)で走り回って、ある程度勝手に生活しているNPCを捕まえて会話選択肢を選んで関係とパラメータを作っていく
今回もみんな学生なので基本的には放課後がスタートになる、そして2日に1回くらいなんか新しい電波な事を言い出すNPC達と話しながら、ケガイを探し出して始末する事となる


▽戦闘
ちょっと操作が変なコマンド式RPGとなる

- 見た目だけは得能正太郎作品にいそうなロボ


特に何の説明もなく物騒な矛を担いだ主人公の行動だけを選び、ふんわりした行動予測見つつ殴るか自己回復するか味方をバフするか庇うかを選んでいく
あと何故かガンパレードマーチにあった感情を選ぶ選択肢がここに存在しており、敵を友情と愛情と憎しみの3種類から選んで殴る事ができる、憎しみで殴ると敵がやる気になって死ぬ、味方が憎しみで殴っても死ぬ

言ってしまえばシンプルな戦闘であるが、特徴として大きいのはキャラの死亡である。
死んだら容赦なくロストし、このゲームには回復がボス前と主人公の自己回復しかない。そして全体攻撃もバンバン飛んでくる為、2周目までを戦っている場合は割と死ぬ


▽キャラビルド
肉体系と精神系でパラメータが8種類くらいに分かれており、役割はここもふんわりした表現となる
明記されてるのは肉体系でHP上限上がって精神系でSP上限あがるよくらい、剛力がSTRなのは分かるが技術がクリティカルなのかDEFなのかは分かんねえってなる

パラメータは基礎値と加護値に分かれており、加護値はループしても残る、基礎値はループした後最高値までは倍速で上がる、といった調整になっている

加護値については普通に生活してたらガンガン増えていき、基礎値についてもボス2,3体やっつけるころには前回最終値に追いつくくらいの早さのイメージだ、この辺はあまりストレス無い感じだし、加護値の最低保証システムが気分的にも下がらなくて良かった感じ、実質的に加護が宝箱の位置にいたし腐らないしお得


▽良くない所
・戦闘がガタガタ
Xbox360でラストレムナントやらされてるかのようにガタガタ

Switch版独自の処理落ちかと思ったら割とどこでも叩かれてるので狙ってやってる気がする、モーションの都合で狙ってやってガタガタ激重って思われるのはダメだろ

開発会社はiOSの実績ばっかだったのでまあちょっと色々あったのかもしれません


・戦闘が単調
雑魚敵が色違いしかいねえ、ので、結局そこそこいるボスとの戦いがメインとなるのだが、どうも1週目と2周目はこの辺で負けてループさせようってガッチリ切られてる感じになっており
前述のめちゃくちゃテンポの悪い戦闘を与ダメ20前後固定でじわじわ見せられる事になる、ここはシンプルに厳しい

味方キャラは回復役なしで皆攻撃とバフを2、3種類ずつ持ってるぞで役割は変わらない為、この辺はマジで見た目で選んでいい、ボスとの関係者会話もほぼない

そしてやる事は基本的に庇う必要があれば庇う、味方が大技使うならそっちを強化する方がコスト安い、そうでなければ殴る、程度の選択肢しかなく、それをパラメータ上げて早くするかどうかしか変わらないので、正直戦闘が面白いかと言われると2周目からは完全に作業となった。戦は準備が9割!


・UIがガンパレードマーチに寄りすぎ
発売前インタビューで俺は3人会話入れるつもりなかったんだけど入れましょうって言われたから突っ込んだんだよねとか書いてたんだが、どうも現代にGPMを再現させようと暗躍してるのが複数人居る気がする、これはモダンなSLG+RPGではない

そこまで行く、話しかける、めちゃくちゃでかいUIの選択肢を1個ずつ移動して選ぶ、OK/NGの判定がゆっくりでる、行動テキスト、ゲーム的な結果ダイアログ、という、ガンパレードマーチのPS1時代のUIレベルがそのまま採用されている
基本が古臭いADV方式なので立ち絵の切り替わりも基本的に全部がちょっとずつ遅い、連打してれば演出スキップがガンガンかかるUIにすらなっていない!

このプログラムのアルゴリズム剥き出しの機械っぽさがカレルシステムと噛み合って独特の空気を生み出している所はあるのだが、それはそれとしてこれは重すぎじゃねえか


・ループが邪魔になってる部分が多い
前述の全てが微妙に遅いUIが会話イベントがめちゃくちゃ細かく切られた本作と絶望的に相性が悪い、10回くらいイベント会話繰り返さないと提案できないの毎回やるの!?(めちゃくちゃ喋るケモミミの場合)(2周目は愛情値が高いので15回になる)

- めちゃくちゃ喋るケモミミ



あとループを30回やれとかは考えてないっぽく、パラメータやイベント消化は4,5周で大体満足できる調節となっており、今回はこいつの話やろうっていう感じが割と早々に終わりがちとなる。

さらにコミュニケーション量と戦闘力が直結するので戦闘員のイベント消化は外せない。まあ今回のループは別のキャラを戦闘員にしよ!でも多分いけるんだが、色々重いのでそういうチャレンジはしにくい


▽良い所
・材料の出し方
これはもう芝村芸風で良いと思うんだけど莫大な量の設定を各キャラクターから出していく切り出し方は上手い、事件と個人の過去と未来と友情と恋愛が複数の関係者から語られ、ギリギリついていけるレベルの唐突な前提の破壊を繰り返される事になる

前提の破壊の部分は作風としてそもそも好みが分かれるところだが、今回はそれ以前に話が飛んでいる事もある
極端なことを言えば主人公がケガイと戦える理由すらまともに語られないし、男どもとロボも同様、というかロボについては公式サイトを見ないとロボかどうかすらよくわからない始末だ
これは公式WEBとインターネットに振ったメディアミックスの一種で良いと思うんだが、ガンパレやってる老害かWEB見るかを前提にし過ぎてる気はする、売る気あるのか

- ロボ



・カレルシステム
ループの好感度調整が雑とはいえ、今この人に話しかけても大丈夫かな...といった雰囲気を自然に作れているのはかなり良くなっていた

2周目以降何も考えずに双方向コミュニケーション取ってると恋人クラスが乱立して10日くらいするとめちゃくちゃギスギスして死ぬ、女はこっちからの一方通行にして提案そのものは社会的地位と魅力で通そう!マジで!!

全体をギスらせたせいなのか神討ちにかまけてたせいなのかそもそもお前授業出てないじゃんって感じの相手と5日くらい話してなかったら愛憎300とか振れてて話しかけた瞬間逃げられて愛憎⁺30とかにもなったりする、AIの機嫌を4日くらいかけて全力で取らせていただける

恐らくNPC間も提案システムを経由してるので、基礎能力が低いと提案通らずに悪化し始めると割と悲惨なスピードで愛憎値が溜まっていく事になる、何で親子で愛憎200とか行ってんの!?

これを避けたい場合はループを繰り返してNPCの加護値を純粋に上げるか、主人公側で速攻で友達面したうえであの人と仲良くしてよを繰り返してクラスターを作り、提案が通りやすい陽キャムードを作り続ける、などが必要となると思われる。俺が委員長だ


・シナリオ構造
これシナリオが3重くらいになってるんですよね、日本神話の話と、ケガイに対抗する為に進化した今回の日本と世界の話+主人公が宇宙にいた話、あとループの話、そして複数のOVERS、無名世界の干渉(これはもう公式サイトレベルでやってしまってる)

基本はジュブナイル+神話の加護と前世+ループの話となるのだが
この辺メインシナリオで決まった順番でお出しされるわけではなく、各キャラが自分の話と神話の話をバラバラに出してくるのでめちゃくちゃ分かりにくい、さっきまでめちゃくちゃ純粋なクソ田舎の話してるのに何で次の瞬間前世の話するの

この辺はもう世界観にどっぷり浸かる覚悟でパーツを集めてあとでくみ上げて最終ルート行こう、みたいな感じに普通なると思うのだが、今回はゴールが明記されてるのでパーツ集める前に終わりがちだったり、さっさと「消化」されたりしてめちゃくちゃ食い合わせが悪かった。
まあパーツ集めるには今回の異様に遅いゲームスピードでは耐えられないんだけど

ガンパレの頃はゴール見つからずに終わったりそれゴールじゃないよって言われたりしたのでアレはアレで酷いんだが

で、散々言った割に最終的にシナリオ構造としては良い感じとなった。
単純に神話の清算をジュブナイルな世代がやろうとする、こいつサルタヒコってことは友達のこいつがあのクソ男かといった当てはめ、それを繰り返していくうちに何かこいつ神話とズレてるな、といった部分は非常に綺麗な構造となっていた

この子が嫁って事は、じゃあ同じ名前のこの子誰なの?

これに関してはそんなに詳しく日本神話を知っている必要はない、いっつも加護くれてる人何か聞いた事あんなくらいから軽く調べて出てくる概要欄レベルを前提としている


▽全体感想1(ゲーム外知識)
そう、前提としている。このゲームは単体で楽しめるようには何もかもなっていない!
必要な知識は少々の日本神話の知識と、公式サイトまたはガンパレ知識、というか何よりもカレルシステムの理解!まだやります!ゲーム内で!言え!

カレルシステムというものはゲーム開発における技術名称ではなく、
世界観的にキャラクターは本当にカレルシステムで動いている

これは特に語られる訳ではないが、主人公と他一名に憑いた「神」の存在は公式サイトに明記されている上で、多くのプレイヤーが違和感を覚えるカレルシステムの弱点が放置されている時点でそう読み取って良いだろう

カレルシステムはAIを自律移動させて、プレイヤーがそれに対して干渉する事でその日のNPCの行動を開発者は作らなくてよくなるし、AIの雑なパラメータを整える事がプレイヤーの楽しみとなる訳だが、自由に動かす代償としてChatGPTにでも作ってもらわないとまともな会話は組めなくなる

- パラメータ変化の例


なので日常的なテキストは「楽しく会話した」レベルに収まってしまうという弱点が出てくる
フラグが立ったら専用の会話パートが発生する訳だが、そこで芝村の前提破壊会話がいきなりぶち込まれる、あたしー実はロボでーとか言う

この唐突さはカレルシステムとプレイヤーの間に発生しており、それはゲームの都合ではなく、恐らくゲーム内世界観においても全く同じ理由で置かれている。
※カレルは主人公を理解できないモノとして認識している事が明記されているため

これは話が唐突に飛んでいるというより、おそらくカレルシステムに干渉するプレイヤーは彼らの生活を全て観測できておらず、急に結果だけぶち込まれている
つまりクソダサUIとかは話がぶっ飛ぶのはカレルシステムと付属UIの都合としてワザとやってると思われる
まあその「都合」の塩梅がガンパレ信仰によってかなり歪んだんじゃないかという気はする

公式サイトにウリとして書いてるし、芝村ロングインタビューでもめちゃくちゃ喋ってる事から多分システムを披露したいのが6割くらいだったんじゃないだろうか、ゲーム作れや


▽感想2
キャラとボスのモデル関連はほぼ問題なし、ちゃんとここは予算取って作ったんだなという作り込みだった
(戦闘が360ラストレムナント状態なのを除けば)


▽感想3(温度差)
キャラロストと答え合わせパートの温度だけめちゃくちゃ低い、急にフルボイスで後悔を語るんじゃねえ!

ロスト時の関係者会話だけは異様に質感が高く、多分ロスト時に刺さる台詞選びをわざとやってる
主人公が絶望を語り、何も知らないコノハさんは明るく朝食をふるまい、倒した神は敵を救ったのを後悔するぞと予言する。誰だよこれ仕込んだのは

これから倒す神の背景解説をその辺歩いてる死者がご丁寧に教えてくれるのだが、何故かここだけ異様にクソ田舎解像度を上げてくる、もう東京と九州とここしか残って無さそうだけどここまで日常的なクソ田舎ムーブ本当にやってるのか、ミッチは赤眼鏡なんてかけてないで避妊眼鏡しろ

- ゲームスタート


あとこれは刺す話ではないんだが(刺すけど)芝村さん女は怖いなという表現がやっぱり得意な気がする、多面性をしっかり描くよね


▽感想4(シナリオ)
話のレイヤーが複数あるせいでトゥルーの話がちょっと狭い、宇宙の話は「見立て」の部分とちゃんとした事情があると思うんだけどその辺完全放置だったりする、というか本当に宇宙なのかあれは

この辺はトゥルーに行かないよう頑張って他の人の話をやると出てくるのかもしれないが、ぶん投げて終わりそうなのがこのゲームクリエイターである、気を付けられたい


▽感想5(全体)
UI全体でマイナス3、システムでプラス2(死ぬ程人を選ぶ)、メインシナリオでプラス2、みたいな感じでやや優勢です、売る気あるのか

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